第6回:「今日はどっちのOさんだろう?」— 機嫌に振り回される日々

過去の職場体験記

Oさんからの無視や舌打ちが続く日々。

でもそれは、誰も見ていない時だけ。

男性社員がいるときには「かねさやさんのおかげだよ〜」なんて笑顔で言ってくれたり、一緒にお昼ご飯を食べようと誘ってくれたり。

…本当に理解出来なかった。

最初は「たまたま機嫌が悪かったのかな」って思った。

私は昔から鈍い方だから、誰かの感情に鈍感でいた方が楽だった。

だけど、日が経つにつれて分かってきた。

Oさんは、意図的に私の前で態度を変えていたんだと。

Oさんの機嫌が良いときは、楽しくおしゃべりできて、それはそれで楽しい。

でも、機嫌が悪いと…無視、舌打ち、ため息。

こっちが何か言うたびに、「はぁ〜」と露骨に嫌な顔。

血の気がサーッと引いて、心臓がドクドクして、でも声が出ない。

私の毎日はOさんの機嫌に左右されてた。

「今日はどっちのOさんだろう?」

家を出る前から、心臓がぎゅっと握られているような気分だった。

自然と、Oさんの機嫌を取るようになっていた。

顔色をうかがい、話しかけていいタイミングを見計らい、お菓子を差し出して笑顔を作る。

まるで手下のような、いや、奴隷のような関係だった。

でも私は「恩人だから仕方ない」と自分に言い聞かせていた。

だって私を上場企業に誘ってくれたのはOさんだったから。

「耐えなきゃ。ここで給料をもらうためには、耐えなきゃ」

そんな風にしか考えられなかった。

誰にも相談できなかった。

Oさんの悪口を言うなんて、恩を仇で返すようなことは出来なかった。

そして、Oさんはそんな私をどんどん「都合のいい人」として扱うようになっていった。

仕事の割り振りは、8対2。私が8。

Oさんがほとんど何もしない日もあった。

それでも私は、「これくらい当たり前」「私はまだ頑張れる」って、自分に言い聞かせ続けた。

本当はもう限界が近いのに。

だけど当時の私は、自分の限界がどこにあるのかも、分からなくなっていた——。

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